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ダイキチ☆デラックス~音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ミルト・ジャクソン MILT JACKSON


 誰あろう、この方こそ、ヴァイブの帝王、ミスター・ヴァイブ(って、なんかヤラシイな)ミルト・ジャクソンなのであります。ミルトちゃんというと、在籍していた超有名ユニットMJQ(モダン・ジャズ・クワルテット)のヴァイビストとして語られることが多いと思うんですけれど、『ラスト・コンサート(完全盤)』(1974年録音)だけ聞いておけば充分です。タイトルどおり解散コンサートを収録したアルバム。でも、この後再結成するんですけれどね。解散コンサートといえばアリスとかキャンディーズとかのアルバムを思い出しますねぇ。アリスの「遠くで汽笛を聞きながら」は実に良い歌です。キャンディーズと言えば、誰のファンでしたか?スーちゃん!て声が多いようですが、私はランちゃんが好きでした。どっちかと言えば細身で髪の長い人が好きだったんですよ、当時。今?今は可愛いんなら、どんなタイプでもOK。我こそは、と思う人、写真添付してメールください。さて、このアルバムは、アリスやキャンディーズに負けず劣らず素晴らしい2枚組。グループの性格のせいか、割とおとなしい、上品な感じなので、ワイン片手に膝に猫を乗せた女性にもピッタリ。同じようなアルバムに『ヨーロピアン・コンサート』もありますが、断然こっちの方をお薦めしますね。


 さてミルトちゃん、第一人者だけあってアルバムの数も多いので選ぶのに苦労するのです。小さなレコード屋だと、ヴァイブのコーナーにこの人のアルバム2~3枚しか置いてなかったりするんですね。いろんなガイド本では『プレンティ・プレンティ・ソウル』(1957年録音)というアルバムが最高傑作と言われていますけれど、そんなにええかなぁ……いや、別に私がひねくれているから貶すわけじゃないんですけれど、あんまりヴァイブが目立ってない気がするんですよね。大体、ジャケットのセンスが良くありませんな。まぁ、持っていて損というわけではないけれど、これを買うくらいなら他にもっといいアルバムがあります。


 というわけで一押しに掲げるのは、聞いていて気持ちよく、気分はノリノリの大傑作『オパス・デ・ジャズ』(1955年録音)でございます。ジャズが難しいとか暗いとか思っている人、これをお聞きなさい。「私が間違ってましただ、許してくだせぇお代官様!」と涙を流して改心することでしょう。そして、あなたもヴァイブの虜!このアルバムではフルートと共演、その相性もバッチリ、こんなイカス演奏なかなか聞けません。ジャケットも実にカッコよくて、もろ私好みなのであります。


 続いては『ミルト・ジャクソン・クァルテット』(1955年録音)。これまたクールなジャケットですね。モノの本によるとミルトちゃんの演奏というのはソウルフルでブルージーなんだそうです。MJQを離れての演奏となると特にそんなふうになっちゃうんだそうです。ソウルフルもブルージーも何のことやらサッパリ意味が分かりませんが、ひょっとしたら、こういう演奏を指して言うのかも知れません。このアルバムでは、ピアノ・トリオをバックに演奏というMJQと同じ編成なのですが、確かにどこか違います。MJQみたいに堅苦しくなく、リラックスして聞けますね。ミルトちゃんのヴァイブの音色が思い切り堪能できる良いアルバムだと思います。


 マイルス・デイビスと一緒に演った『マイルス・デイビス&ミルト・ジャクソン クインテット/セクステット』(1955年録音)もなかなかの好盤です。マイルスがヤンキー座りしているのが有名なアルバムですね。このポーズのせいで「うんちマイルス」なんて呼ばれているのです。まぁ、ジャズファンって下品ですね。このアルバム、モノによっては青い写真じゃなく黄色い写真のものもあります。て言うか、黄色い方がオリジナルみたいです。どうして再発盤は青く着色されているんでしょう。謎です。私は青い方が好きですけどね。だって黄色い写真で「うんちマイルス」なんて言われたらリアルすぎますからねぇ。


 にこやかに演奏しているのは『バグス・オパス』(1958年録音)。このアルバムでは、トランペットのアート・ファーマー、テナー・サックスのベニー・ゴルソンと共演しています。アート・ファーマーという人は、トランペットをパッパカ吹かない、なかなか落ち着いてイイ感じの演奏をする人で、『アート』という好アルバムを残していますが、ジャケットの絵が伊武雅刀そっくりで笑えます。もう一人のベニー・ゴルソン、実はこの人が曲者で、プレイヤーとしては大したことない(と思う)んですけれど、アレンジさせたら才能発揮、その美しいアレンジは「ゴルソン・ハーモニー」と呼ばれています。そういう天才が参加したこのアルバム、悪かろうハズはないでしょ?ヴァイブのアルバムに管楽器が入ると、ヴァイブが目立たなくなる傾向がありますが、その点も大丈夫。キッチリ目立つようにアレンジしてくれています。


 お次は『ソウル・フュージョン』(1977年録音)。タイトルはフュージョンですが、中身はノリノリのジャズです。あ、フュージョンがノリノリじゃないってわけじゃないですよ、念の為。モンティ・アレキサンダーとの相性もなかなかいいですねぇ。それにしても、なんかタイトル文字の部分、写真と変に合ってないデザインですねぇ。これも再発盤のせいですかね。どうして再発でデザイン変えるんでしょうねぇ。オリジナルのままにしておく方が手間もかからなくていいと思うんですがねぇ。


 さて、COLLECTABLE RECORDSという、なかなか嬉しい復刻をやってくれている会社がありまして、そこが2 in 1で復刻してくれたものもお薦めです。
 まずはストリングス・オーケストラを従え、クインシー・ジョーンズのアレンジで、華麗にして大層な演奏を聞かせてくれる『ザ・バラッド・アーティストリー・オブ・ミルト・ジャクソン』とホーン・セクションとの競演『ヴァイブレーション』のカップリング。青いジャケットね。
 もうひとつはバラッドとブルースの名盤、その名も『バラッズ・アンド・ブルース』とフランク・ウェスのフルートをフィーチュアした『バグス・アンド・フルート』のカップリング。2 in 1には否定的な声もありますが、正に一粒で二度おいしいわけですから、私は大歓迎です。


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