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ダイキチ☆デラックス〜音楽,本,映画のオススメ・レビュー

ボビー・ハッチャーソン BOBBY HUTCHERSON


 略してボビハチ。正直申しまして、私、この人の演奏って好きじゃないんです。モードだか新主流派だか知りませんが、本来、美しく流麗な音を出すヴァイブを、こんなふうに味気ない鳴らし方をするというのが気に食わないんです。「クールで透明感あふれるサウンド」なんて言われていますが、私に言わせりゃ暗くて落ち込むサウンドですよ。


 生涯の傑作なんて言われている『ハプニングス』(1966年録音)にしたって、あれは「処女航海」のヴァイブ・バージョンが聞けるって一点で持っているだけですよ。確かにオリジナルのハービー・ハンコックの『処女航海』に勝るとも劣らない演奏ですからね。しかし、新主流派、下手するとフリーの時代の人ですからして、ヴァイブを陰鬱で辛気臭い響きで聞かせてしまうわけですね。聞くのが辛い。こんなヴァイブなんてイヤだ。


 そんなわけなので、この人が正面に立ったものより、サイドメンとしての仕事の方が聞きやすいのかもしれません。なんとなく横の方で効果音的に鳴っているっていうのなら、かなりお上手なように見受けられますから。ビッグ・ジョン・パットンの『レッテム・ロール』とかね。





 エリック・ドルフィーの『アウト・トゥ・ランチ』ジョー・ヘンダーソンの『モード・フォー・ジョー』デクスター・ゴードンの『ゲッティン・アラウンド』なんてのは、ボビハチのおかげで他のアルバムより聞きやすくなっているように思いますよ。


 でも、どうせ聞くなら、もっと弾けた、いわゆるゲテモノを聞きましょう。さぁ、この狂ったジャケットを御覧あれ!『ウンコ・チンポコ』……もとい『ウン・ポコ・ロコ』(1980年録音)です。バド・パウエルの曲ですね。変な名前ですね。名前にふさわしいジャケット・デザインですね。いい仕事です。それはさておき、ジョン・アバークロンビーのエレキギターだのジョージ・ケイブルスのエレキピアノだのと一緒に演奏していて、ここまで来るとフュージョンに片足突っ込んでいますが、なかなかに楽しいアルバムです。こういうふうにやってくれるのなら大歓迎ですな。